冬を楽しく過ごすための支度として「白菜を漬けること」は欠かすことが出来ない。
例年、11月も半ばを過ぎると白菜が安くなる(そんなに大きなものではないが一玉200円くらいが「僕の中での安価」…)ので二玉くらい買ってきて桶で漬け込むのだけど、今年は白菜が不作なのか、それとも僕の生活範囲に「良質な野菜を安価に売る素晴らしい八百屋」がないだけなのか分からぬが、白菜が全く安く売られていない。
別にこうなることを見通していた訳ではないのだが、今年は秋口からなんだか白菜をたべたくなり、簡易漬物機で何度も白菜を塩漬けにして食べていた。
だから「白砂の漬け込みこそが冬支度の醍醐味」みたいな例年のような意気込みも感動もないのだけど、年末休暇の時に自宅でダラダラと酒を飲んでみたり、年末年始にかこつけて美味しいものを食べたり、あるいは年末年始に御馳走を食べ過ぎたのだから粗食にしよう…とか、あらゆる局面で白菜漬けは有り難い食物なのでそいつを支度するのである。
理由はどうであれ、僕の冬の食卓には「希望すればいつでも登板してくれる白菜漬け」を望んでいるのだ。酸味が旨味に変わっていく「発酵食品としての白菜漬け」を僕は大好きなだけなのだ…。
一週間くらい前に漬け込んだ白菜は、寒くなってきて暖房器具を使うようになってきたためか予想を上回る早さで乳酸発酵を続けている。もうしばらく発酵を促し(…と言っても放置しておくだけなのだが)、クリスマスあたりに水から引き上げて追熟させる。
特に簡易漬物機での白菜漬けが好きなのではない。例年のように安価に売られていさえすれば、樽にぶち込んで多量の白菜を漬け込むのだけど、例年の倍くらいの値段で売られているので「大量生産を踏みとどまっている」というだけのことだ。
白菜に続いて、昨夜は山葵も漬けた。
これは発酵という過程を踏まないものなので、厳密に言えば漬物ではなく、「お浸し」のようなものだけど、酵素の働きにより辛味を引き出す…という作業が楽しいので、僕の中では「漬物作りと同等のホビー=漬物」として捉えている僕の好物だ。
仕事の用事(…ってこの1年でお世話になった客先への年末挨拶なのだけど)で伊豆の南部に出掛けた。通過地点にある天城で山葵を買う。
ここの山葵は本当に安くて品がいい。本当は食べる都度、ここで山葵を買いたいくらいなのだが、やはり近くはないので今回の年末挨拶の際に多めの山葵を買ってきて漬け込んでおいた。
醤油漬けにした山葵はクリスマスの頃に食べ頃を迎えるのだろう。本来の山葵の風味をしっかりと味わうのならば、そのくらいの時期に食べきるべきなのだけど、これらは暮れにやって来るガキどもや舎弟たちと食べようと思っている。
普段は案件がある度に都度都度、お会いしたり打ち合わせをする客先とも「年末挨拶だけはタイムカードを押すように訪問しておかねばならん…」という昭和スタイル丸出しのスタンスを僕は好んでいる。そんなことをしているから、やはり12月は気忙しい。
そこに忘年会やらクリスマスやら大晦日やら正月やら…何にしてもそれを存分に楽しみたいと思うような行事がやって来るのだから、ずっとバタバタしている。
しかし、「こんな風に忙しく過ごしたくないないのだけど…」なんて愚痴みたいなことを言いつつ、忙しく過ごす12月というのも僕は好きだ。