今週は「去年作った肉の燻製」を食べている。
塩漬けした豚肉を貧乏スモーカーで燻したものだけど、ちゃんと塩漬けして燻したものだからなのか「肉を購入してから」だと、もう3ヶ月くらい経つように思うのだが、これらはまだ傷むことなく美味しく食べている。まあ、これには冷蔵庫という電化製品の冷蔵保存力が大きいのだけど…。
この数日で食べているのは豚のバラ肉を用いたものだからベーコンである。ベーコンという加工食品を好きな人も多いと思うし、僕もベーコンというものは美味しいものだと思う。
しかし、市販されているベーコンの殆どが化学調味料やら香料によって「燻製肉っぽく仕上げられた燻製という手順を踏んでいない超加工食品であること」に気が付いてからは市販のベーコンを食べたいとは思わなくなった。
貧乏スモーカーで作ったベーコンは塩加減も丁度いい。誰だったか思い出せないが「食通の文豪がその味覚だったか拘りについて褒められた時に『こうなるまでには結構な金も使いましたからね…』と言ったという逸話」に憧れているが、僕も燻製肉作りには『結構な金も使いましたからね…(あくまで僕の金銭感覚では…)』なのだ。
2ヶ月くらい熟成させた燻製肉は煙臭さも程よい芳香となり、肉の塩っけと熟成されたことによるものと思われる旨味が見事だった。
バラ肉の脂身もそのまま噛み締めると旨味が出てくるのだけど、それを刻んで少し賞味してからは目玉焼きと一緒に火を入れてから食べた。ベーコンエッグといわれるものだ。
ベーコンエッグを作るのも久しぶりのことように思う。料理とも言えぬような簡単なものを作って、そいつと一緒にウイスキーを飲んでいたら『学生時代に思っていたこと』を思い出した。
今から30年くらい前の僕は「いいバーのオムレツは美味い。そしてオムレツの美味いバーがいい店…」なんてことを信じていて、尚且つ、友人などにそんな馬鹿みたいなことを本気で語っていた。
この説の出典は当時心酔していた村上春樹の古い小説によるものだと記憶しているが、今となれば相当に恥ずかしいことを信じていたものだ…。
もしも、時間跳躍…と言うかタイムリープみたいなことがあって「そんなことを語っている馬鹿ガキの僕」に出会えたのなら「おい、兄ちゃん。バーは酒を飲むところでオムレツを食べるところではない。美味いオムレツを食べたいのなら、まず飯屋にいけよ、いい洋食レストラン。そして、そこで出てくるような美味しいやつを自分で作れるようになれよ。玉子なんてお前の財布でも安く買えるものなのだから…」と説明してやりたいと思う。