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鰯を焼く - kazanekkoのあれやこれ

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おはようございます。

かざねっこです。

本日の題名は『鰯を焼く』です。

ごゆるりとお付き合いいただけると

嬉しいです。

 

鰯を焼く。

小ぶりの鰯、10匹。

すでに頭も背骨も

綺麗に取り除かれているもの。

フライパンにちょっと多めの油を入れて

皮のない身の方から

こんがり焦げ目がつくまで焼く。

味付けは、塩。

本当は

お醤油と味醂で蒲焼き風に

とか

バルサミコ酢を煮詰めたものに

ちょっと甘味を加えたソースを絡めて

とか

味付けは色々とあるにもかかわらず

我が家は塩一択。

他の味付けをしようものなら

すぐさま、クレームが入る。

お肉も牛蒡も

味付けは塩がお好み。

確かに、シンプルで

調理も楽だけれど

もう少し冒険してもいいんじゃない?って

時々思う。

バルサミコ酢なんて

初めて出会ったとき

私、とっても感動して

お店の方に「この味付けはなんですか」って

尋ねた記憶まであるのだけれど

残念ながら

我が家のバルサミコ酢さんは

我が子たちには不人気で

調味料置場の隅っこに追いやられ

すっかり影の薄い存在に。

おかしいなあ、おかしいなあ

と思いながら

焼いている鰯の表面に

塩を振る。

塩を振りながら

なにか鰯の思い出はなかったかしらと

頭の中を探ってみる。

 

今もだけれど

昔から『市』へ行くのが好きだった。

ところ狭しと屋台が立ち並び

色々なモノが売られている『市』

私が学生のころに通っていたのは

どこかのお寺市。

日が合うと

母に買い物を頼まれて

ちょくちょく通っていた。

買っていたのは

果物や野菜などの食料品。

バケツ一杯でいくらとか。

とにかく量が多くて、安い。

ほかにも、骨董品とか

ちょっと物珍しいもの

売っていたから

ぶらぶらと歩きながら

それらを眺めるのは楽しかった。

だから、母から頼まれれば

喜々として買いに行っていたのだけれど。

あるとき、果物と魚を頼まれた。

「魚はお値打ちのモノがあれば

 買ってきてね」とのことだった。

市へ着くと

まずは、屋台をぐるりと一回りする。

なにが売っているかとか

どこが安いかとか

大まかに把握して

それから今度は

じっくりと時間をかけて品定め。

まずは果物。

バケツに山盛りになっている

果物たちを

時に、試食させてもらいながら

選び出して、購入。

それだけで、手提げ一袋が

いっぱいになる。

そして、お魚。

魚の売っているところは

数店舗しかなくて

ラッキーなことに

そろそろ市がお開きになる時間だった。

だから、魚屋さんも

持ってきた分を全部

売ってしまいたかったのだろう。

一気に値引きを始めた。

小ぶりの平目が

二匹で千円。

お値打ちな気はしたけれど

これはちょっと惹かれなかった。

そして、次に出されたのが

発泡スチロールひと箱分の鰯。

ただし、発泡スチロールの箱の中には

たっぷりの氷水が入っていて

鰯がどれくらい入っているのか

外から見ただけでは全くわからない。

それなのに

「これ、一箱で千円!」

そういわれた瞬間

「買う!」と手を挙げていた。

周囲も、売っているおじさんも

えっという顔で私を見て

私もなんで「買う!」

なんて言ってしまったのか

分からなかったのだけれど

なぜだかこれは『買い』だと

思ったのだった。

おじさんが箱から鰯を取り出して

袋へ詰めていく。

思いのほか、氷水から

どんどん出てくる鰯。

途中で、おじさんの手が止まる。

「これ、二千円じゃダメ?」

「ダメ!」

袋いっぱいになった鰯。

念のため、私の持っている手提げの中で

一番大きなモノを持って行ったのだけれど

まさか、鰯だけで

それいっぱいになるとは思いもしなかった。

しかも、その時は

果物も袋いっぱい買っていたから

重くて重くて

持ち帰るのは大変だし

魚臭いし、で

家に帰るのも一苦労だった。

なんとか家に着いて

戦利品を母に渡した。

大量の鰯に驚く母。

「確かにお値打ちだけれど・・・」

頭も内蔵もついている鰯。

早急に処理が必要で

シンクに全部放り入れて

ぶつぶつと何か小言を言いながら

一匹一匹処理をしていた。

あとから、ちょっと興味が湧いて

母が下処理した鰯を数えたら

50匹ちょっと。

一匹二十円くらい。

なかなかいい買い物をしたんじゃないかと

あの当時は思っていたのだけれど

いま、母の立場になってみて思う。

ただ、量があれば

良いってものでもない!

そして、もちろん、そのあとは

鰯の煮付けに蒲焼きに

一夜干しに香草焼きにと

鰯料理がしばらく続いたのは

言うまでもない。

 

今では、高級魚に

なりつつあるんじゃないかしら?

と思う鰯さん。

時期によっては

手が出せるから、まだ

食べさせることがはできるけれど。

子供に魚を食べさせたい

という気持ちは大いにあるものの

その量と値段を考えると

普段から食べさせるのは

なかなか難しいんじゃないかと思ったり。

こんがりの焼き上がり

 

十匹のうち

五匹はお昼ご飯に。

残りの五匹は次の晩御飯に。

ちょっと量が少なめで

我が家の食卓では

メインになりきれない

今日この頃。

 

最後までお付き合いいただき、

ありがとうございました!

 


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