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給食喫食中に「胃腸炎を疑われる子が嘔吐」してしまった場合、その後の給食はどうなるのか? - 保育園調理師の食ブログ

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胃腸炎が流行っているこの季節、小さい子を中心に嘔吐や下痢の症状が出やすくなっています。保育園内でも突然の嘔吐をしてしまう子も少なくありません。

保育室内で嘔吐してしまった場合には、担任保育士が嘔吐物からウイルスをまき散らさないように次亜塩素酸ナトリウムを使用した適切な処理をしてくれます。

では、給食時間内に嘔吐してしまった時、その後の給食はどのようになってしまうのか?と考えたことはありますか?今回はこのことについて書いていきたいと思います。

給食配膳前の嘔吐

給食の配膳が始まる前の嘔吐である場合には、嘔吐してしまった園児と嘔吐物を処理する保育士、作業を補助する保育士を残して、他の園児と共に清潔な部屋、または屋外に移動します。この時、嘔吐した子の近くにいた子も嘔吐物が付着している可能性があるので、園児一人ひとりを確認します。

嘔吐のあった保育室では、換気をしながら担当保育士が適切な処理を行います。

給食の配膳は一時ストップしますが、嘔吐物による直接の被害はないため、嘔吐のあった保育室以外での配膳は可能となります。

給食配膳後~食べはじめ間もなく

給食を配膳中であったり、「いただきます」して食べ始めて間もないくらいのタイミングで保育室内で嘔吐の子が出てしまった場合です。

嘔吐物は意外と広範囲で飛び散ります。嘔吐していた子がウイルス性の胃腸炎にかかっていた場合には嘔吐物の中に含まれているウイルスが空気中に飛び散ったりもします。

ですので、嘔吐物から半径2.5メートル以内にある食べ物は、ウイルスに汚染されていると考えたほうが良いのです。そして、その食べ物を摂取することで口から体内にウイルスが侵入して、さらに感染者が増えるのです。

と、言うことは…。嘔吐してしまった子と同じ部屋にいる園児の給食はたとえ食べかけであっても、それ以上与えることができなくなります。

どの様に対応するのか

保育室内は、担当保育士によって処理されます。

そして困るのが、同室の園児の給食です。

まだ、食べ始めで食事の量として全く足りない場合は、汚染されていない安全な給食を再度提供しなくてはなりません。ですがここで問題が発生します。

生鮮食品のストックがないのです。

当たり前のことですが、給食食材は当日納品当日使用ですので、給食提供が終わった段階で食材0になるのです。そこで、給食室でできる対応としては

  • 急いで(軽食を)買いに行く
  • 乾物・缶詰を駆使して簡易給食を作る
  • 保育士が時間差で給食を食べる場合、配膳がまだな分があれば園児優先で配膳し、保育士にはお弁当を買ってきてもらう
  • 大豆・コーン、ツナ、カレールーなどがあれば簡単なカレーは提供可能(ご飯は早炊き)
  • 災害用の炊き込みご飯の提供

などの対応をします。

ここでは給食職員が臨機応変に判断する必要があるのです。

子どもたちも嘔吐のあった部屋からの移動や、移動先の部屋での準備もあるため、すぐに食べることのできる状態になりませんので、20~30分くらいで準備できる食べ物があれば給食室で準備します。

 

 

給食中盤~終了近くに嘔吐があった場合

この場合も嘔吐があった子のクラスの給食を直ちに中止して、子どもたちを別の保育室に移動させます。半分以上食べている状態であれば、対象クラスだけ缶詰のフルーツ(常備してあります)や、キャンディーチーズなどを追加で与え、後はおやつで調整することもあります。(この日のおやつを少し多めに対応します)

子どもたちの栄養摂取量が不足しないように園側で働きかけます。

給食中止の判断

子どもたちに安心安全な給食を食べてもらうためには、時には厳しい判断をしなくてはいけなくなる時もあるのです。ですが、子どもたちに『ご飯が足りない』という思いをさせないように工夫することも求められているのです。

「給食中の嘔吐」はイレギュラーなことですが、 周りの子の1日の摂取エネルギーが足りなくならないように、配慮した対応を考えているのです。

しかし例え給食は中止となってしまっても、子どもたちに何も食べさせないという判断は行いません。

給食そのものは食べることができないことになってしまっても、「買ってきてでも」「あとから作ってでも」たとえ「軽食になってしまっても」必ず子どもたちに食事は与えます。

基本の嘔吐物処理

保育室内に残るのは、嘔吐してしまった子と嘔吐物を処理する保育士・嘔吐してしまった子にフォローする保育士など限られた人数になります。

元気な子は別の保育室に移動させ、窓を開けて換気しながら作業します。

①嘔吐物処理者は使い捨てエプロン、手袋両手に2枚ずつ、マスク2枚重ねで装着する。

 

②嘔吐物は使い捨ての布などで集めるように拭き取ります。

③嘔吐物と処理したペーパー類、使用した布や使い捨て手袋(外側の1枚)と、使い捨てエプロンをビニール袋(2重のうちの内側1枚)に入れ、0.1%の濃度の次亜塩素酸ナトリウムの液を入れてしみこませ、袋の口をしっかり縛る。

 

④嘔吐物が付着した地面とその周辺を、0.1%濃度の次亜塩素酸ナトリウムを浸した布やペーパーなどで覆って10分以上置いてから水拭きする。

⑤内側の手袋、マスクの順で外し、③の外側のビニール袋に入れて袋の内側に触れないようにしっかりしばる。

濃度0.1%の次亜塩素酸ナトリウム液の作り方

濃度6%原液の次亜塩素酸ナトリウム50mLを3Lの水で薄めます。濃度6%原液の次亜塩素酸ナトリウムとは、ドラッグストアなどでも販売されている「ハイター」「ブリーチ」「ピューラックス」などのことも指します。

原液の状態では、開封後1~2ヶ月くらいで使い切ります。希釈後は1週間以内で使いきりましょう。

万一食器の中に嘔吐してしまった場合

嘔吐物の入った食器はそのままではもちろんですが、洗っただけでは給食室内に持ち込むことができません。

  1. 嘔吐物を取り除く
  2. ビニール袋に0.1%の次亜塩素酸ナトリウム液と食器を入れ、10分以上漬ける
  3. 中性洗剤でしっかり洗う

3までおこなって初めて給食室内に持ち込むことができるのです。

もちろん給食室内に持ち込まれた後も、85度以上のお湯で洗浄し、食器乾燥保管庫に入れて熱風消毒もおこないます。

保育室と給食室の2か所で徹底的に洗浄・消毒されます。

 

 

さいごに

  • 給食喫食中に同室で嘔吐の子がいた場合、そのほかの子の給食に嘔吐物が飛び散っている、あるいはウイルスや細菌そのものが混入したものとして扱います。(混入したかもしれないはあいまいであり、不確かです)
  • 汚染されてしまった給食は園児に与えることができませんので、給食提供は途中でも中止にします。(代替品などでの対応はあります。)
  • しかし、食べた量により新たに軽食を作る・該当クラスのみチーズやフルーツ缶などを緊急で与える・おやつの量で調整をかけるなどの措置が取られます。
  • これらは、ウイルスや細菌などから新たな感染者を出さないようにするための措置であり、仕方のないことと理解してほしいことなのです。
  • 各園の方針等によって対応など異なる場合もあるかもしれませんので、今回の記事は一例として読んでいただけると幸いです。

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