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食材の「クセ」と「持ち味」 - datetaira’s blog

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このブログには日々思うことを書いているが、まあ食物の記述が多いこと!

一日のうちの3分の1以上は仕事をしているから、仕事のことでも発見や後悔など色々と考えることが多いのだけど、そんなのを書き始めるとこのブログはあっという間に「仕事メモ」みたいなものになるだろうから、仕事のことには触れないようにしている。

 

そんな言い訳をしながら、今日も食物のことを記す。

もう10日くらい前のことになるが、僕はレバーを食べた。レバーという食材を好きなのでよく食べているように思うのだけど、社会一般の平均はどのくらいものなのだろう?僕は外食を滅多にしないが、自炊と外食を含めて年に4〜5回くらいレバーを食べている。

外食でレバーを口にするのが年に1〜2回、自宅でレバーを料理するのが2〜3回くらいであろうか?沼津に来てから「スーパーで安価で美味そうなレバー」を見かける機会が減ったので、昔はもう少し頻度が多かったようにも思う。

自宅で料理するのは大抵、鶏のレバーだ。ハツも一緒についていて、グラム50〜70円くらいのもの。

「人が苦手とする食物のランキング」ではレバーは高確率で上位に入ってくるものなのだろうけど、レバーを嫌う人の何割かは「美味しいレバー料理」を食べたことがなく、初遭遇の際に不味いものに接してしまったものだからそのまま「レバー→不味い食物」としてのインプリンティングがなされているのではないかと思う。

僕は本当に小さな頃にはレバーを不味いものだと思っていた記憶があるが、小学生になる頃には特に嫌いでもなく普通に美味しいものだと感じて食べていた。しかし、この食材を嫌う人の気持ちも分からないでもないから、我が子にレバーを食べさせる時には彼らをレバー嫌いにさせないようにおっさんなりの工夫をしてきた。

レバーの不人気要素のひとつが「臭みとか血生臭さ」かと思う。これを排除する為に牛乳に漬け込むとか各種手段があるようだが、僕は食べやすく切り分けたレバーの血合を丁寧に取り除いたあと、そいつらに塩をまぶして日本酒に漬け込む。一晩か二晩…。

酒にはレバーからの血が溶け出して透明だった日本酒はロゼのワインのような色になる。塩をまぶすのはレバーの内部にまで味を入れるため。これには浸透圧でレバー内部の生臭さを抜く効果もあるように思っている。そして、数日酒に浸けたレバーは充分に水分を切って料理していく。

この時は「仕事の会食が続いていた時」だったので自宅での料理がなかなか出来ず、4日くらい酒に浸していたように思う。肝臓を酒浸りにさせるのだから、僕はこいつを「肝硬変レバー」と呼んでいたのだけど、我ながら実に食材に失礼で不味そうなネーミングだと思う。5年くらい前までは喜んでこの呼称を用いていたのだが、その馬鹿っぽさを恥じて最近はそう呼ばない様にしている。

こうして酒浸りにしたレバーは生姜と一緒に醤油味で煮ても美味しいが、僕はオリーブ油で大蒜と一緒に煮ることが多い。オリーブ油と大蒜を用いたこの手の料理を「アヒージョ」と称する人が多いが、これは「コンフィ」と呼ぶほうが近い料理だ。じっくりじんわりと火を入れなくては、レバーは立ちどころに固くなってしまう。

ただ、臭み消しに使っているのは日本酒だし、そいつを作ってバクバクと食べているのも日本人である僕なのだからこの料理にはスペインでの呼び名をつけることもなく「オリーブ油煮」と呼ぶことがしっくりくるものだと僕は考えている。

何年も前から饗している「レバーのオリーブ油煮」は子供たちをレバー嫌いにすることもなく、僕の食卓での人気献立となった。

今回はベランダ菜園のパセリがないのでドライの香草を香り付け程度に振りかけたが、収穫状況が許すのであればここにはたっぷりのイタリアンパセリを加える。欧米風のニラレバ炒めのようなものだ。

…と「レバーの臭みを抜いて美味しく食べる方法」をここに記したが、これを一人で食べていると「本当にこの食べ方が美味いのだろうか?」と思ったりもする。

そもそも僕はレバーの血生臭さも特に苦手ではない。ものの美味さというものは、やはりその食材のクセによるところも大きい。レバーのレバーらしいところはやはり「その血生臭さ」が持ち味になっているのではないか…とも思うのだ。

テレビで馬鹿っぽいアナウンサーなどが、美味そうな魚を食べて、その感想として「魚ではないみたいです!お肉を食べているみたい…。おいしー!」と言っていたりするのを見ることがある。

何?魚を食べて「肉みたいだから美味しい」のなら、お前は肉を食べておけよ。この魚をわざわざ食べるなよ…そんなふうにも思う。

レバーの臭みを取り去るのはその持ち味を損ねることなのだろうか?僕は「その食材のいいところをわざわざ取りの除くために酒をふんだんに使うという無駄遣いをしているのではないか?」

…そんなことを思いながらも、以前「臭みが取れていないモツ煮を食べて相当に嫌な思いをしたこと」もあるから、一応、これが正しいのだろうな…と思いながら、たまにレバーを料理している。


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