本を読むことと実績解除の楽しみ
最近『百年の孤独』のオンライン読書会を終えて、ふと思ったことを書こうかなと。
読書って読者の想像力を試すようながあるので、
身も蓋もない言い方をすると、「想像力や知識がないと楽しめない」という側面があるということ。
今、日本で流行している『百年の孤独』でいえば、
"コロンビア"と聞いてパッと情景が思い浮かぶ日本人はそれほど多くないだろうし、
(僕もコカインとマフィアが思い浮かぶぐらいだった)
ましてやコロンビアのずっと昔の戦争の歴史のなんて知るわけもない。
ただ、そういうものを自分で調べていって、
軽く知識をつけておくと、わりと知らない国の文学でも楽しめることができたり。
コロンビア音楽を聴きながら、
Youtubeでコロンビアの村の動画を見てみたり。
あとは掲示板(BBS)でみんなの意見や気に入った文章を聞きあったり。
読書の楽しみ方って、もう少し広げられる気がするな、
と思ったのがここ最近のこと。
あと、読書はあまりにも"孤独"すぎる趣味なので、
多少は今の時代にあった"交流の場"的なものがもっとあればいいのになと思った。
たとえば、『文体の舵をとれ』(フィルムアート社)は
Twitterや小説サイト「カクヨム」での交流など、
出版社の盛り上げ方もうまかったし、ある種一つの成功例なのかなと。
・・・ふと思い浮かんだのが、
どの出版社でもトロフィー(実績解除システム)を作れる専用サイトやアプリを作って、実績解除をしてみんなで楽しんだり、SNS的な交流もできたら面白いなと。
そこまで手をかけたくないのであれば、
本のしおりに□チェックボックスをつけて、
それに沿って読者自身がリサーチをするだけで、
知らない間に読みやすくなっている、という仕組みがあったりしたら、
「ちょっと買ってみようかな?」と思う人も増えるはず。
『百年の孤独』の今回のヒットは、
「あの"名著"も今回なら自分でも読み通せるかも?」と読者に思わせたことが
主な勝因だと思う。
(人を選ぶような水墨画みたいな表紙から、
ワクワクを搔き立てるブックカバーになったのも英断だった)
また話は飛んで、
先月発売されたばかりの『世界文学アンソロジー』、
公式ページの"発問例"一つを紹介。
ガブリエル・ガルシア=マルケス(コロンビア)
「世界でいちばん美しい溺れびと」
・特に気になった表現(比喩や語彙など)を抜きだしてみよう。・この物語の文体やトーンからどのような印象を受けるか、考えてみよう。
・水死体がやってきたことで、村におこった変化をまとめてみよう。
また、その変化の理由を考えてみよう。・「名前」という要素が、この物語の中で果たしている役割を考えてみよう。
こんな問いかけがあるだけで、読者の道しるべになるし、
海外文学は特にどう展開しているのかが読みにくいものが多いので、こういうのはありがたい。
こういうのものが、
例えばしおりに挟まっていたり、
『百年の孤独』の読み解きキットのように配布されていたりしたら、
読者にとっては大きな足掛かりになるはず。
本ってテキストだけに価値があるのではないと個人的に思っているし、
本文を読むだけではない楽しみを知ってもらうのが、読者を広げることにならないかなぁ、と思いこの記事を書いてみました。
・・・話が脱線するけれど、
最近、ゲームに関する調べ物をしていると、
エンタメに特化したゲームソフトでも
クリア率はだいたい30%ぐらい、
という話を読んだ。
なるほど、ゲームでもそうなのか。。
みんなの読破率とかを見られれば、
なにか読書に取り組む基準になりそうな気がしているけれど、どうだろう?
電子書籍なら簡単にデータは集められるはずだし。
洋書多読界隈だと、いわゆる「YL(読みやすさレベル)」という基準があって、
自分の読解レベルに適した本を選ぶことが出来るのはわりと面白いし、
自分もこれを基準に本を選んだこともよくある。
音楽本も最近はよく工夫されていて、
ブラジル音楽の本『ブラジリアン・ミュージック』もSpotifyプレイリストへのリンクが貼ってあったりで、非常に参考になった。
ピーターバラカンさんの『新版 魂(ソウル)のゆくえ』もQRコードですぐ音源を聴けるようになったいたり。
カルチャー系の本は初心者にもやさしい仕様になってきているし、
そうでもしないと本が売れない時代になってきているとも言える。
・・・話は少し脱線するけれど、最近AI×読書のこんなサービスを見つけた。
Rebind AI
Rebindは、一言でいえば「AI拡張読書サービス」というような感じ。
読書の内容に関する別の読者・専門家の解釈などを動画で見れたり、
自分だけの対話する相手ををAIで作成して、
本についての考えを AIの自分と話し合うこともできたりするらしい。
著者のインタビューやテキストを読み込んだAIガイドと対話できるなら、
詰まったときもAIに質問したり、
その文章の背景を知ることが出来たりしてなかなか面白そうな試み。
・・・実際に試したわけではないので、どれぐらいうまく読書体験を拡張してくれるのかはわからないけれど、方向性としてはとても面白いなと思った。
X-RAY
そういえば、ずいぶん前から
Kindleにも「X-RAY」という読書補助的な機能があるのをふと思い出した。
その人物に関連したシーンや文章を抜き出してくれる機能。
洋書の「あれ?誰だっけこれ…」現象を減らすことができるガイド的なそれ。
(・・・ただ、日本語だとちゃんと対応している電子書籍が少ないのと、
わざわざX-RAYで見るより、該当部分に戻って読み直した方が理解がしやすいことが多いので、個人的にはあんまり使ってないけれど。)
記事のタイトルから趣旨が逸れてしまったけれど、
読書という体験はAI時代においてもまだまだ死なないし、
工夫の仕方はまだまだあるよね、という話でした。
出版社もまだまだ工夫ができる部分はあるだろうし、がんばってほしいなと。
長くなってきたので、そろそろこの辺で。
誰でも参加できる、読書会はこちらより。
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